トランプ大統領の関税政策について、連邦控訴裁が大統領は国際緊急経済権限法(IEEPA)の下における権限を逸脱したと判断し、関税は違法との判決を下した。
大統領は米国の関税政策を作り替えるために緊急権限を行使するに当たり、その権限を逸脱したとした。
控訴審の判決で違法とされた関税は、ほとんどすべての諸国に対する10%の一律関税、更には一部の貿易相手国に対するさらに高率の関税を含む。その他、カナダ、中国、メキシコに対する追加的な関税がある。
この判決はトランプ政権の目玉政策に対する重大な打撃であり、事案は最高裁に託されることとなった。
この判決結果は非常に重要である。
トランプ政権が敗訴したらどうなるのか?
関税が無効と判断されれば、政府には返還義務が生じる。消費者も企業が関税を理由に値上げしたことを根拠に訴訟を起こし、返金を求める可能性がある。
トランプ大統領は「最高裁で敗訴すればアメリカは甚大な被害を被る」と発言。日本やEUなどと結んだ貿易交渉の合意を「解消しなければならなくなる」と述べ、最高裁を牽制した。
莫大な貿易赤字を長年抱えてきたという点で米国の関税政策の動機は分からないでもない。
ただ問題はやり方だ。
自由貿易は国際分業を進めて世界経済を豊かにした。国と国の相互依存を深めて世界平和の基礎とのなった。国際貿易秩序を一気に崩壊させた一方的な関税政策には到底同意出来ない。
11月5日にも最高裁の口頭弁論が行われるという。
最高裁は判決にあたり相当な覚悟が必要である。