自動車業界、特に北米市場でEV(電気自動車)が大きく伸び悩んでいる。
ホンダは4−12月期にてEVでの減損損失等で純利益が4割減となった。
米国のビッグ3(GM、フォード、ステランティス)もEV関連の損失額が8兆円を超えたという。
10年近く前からBYDなど中国メーカーが飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長した。
これを受けて、「これからはEVの時代だ。これに乗り遅れると中国自動車メーカーに完全に追い抜かれる」との危機感が強くあった。
この状況を受けてホンダは2040年までにEV100%製造に舵を切った。
一方でトヨタはEVだけがマーケットではないとして全方位戦略を取り続けた。
当時、トヨタの戦略は大丈夫なのか、競合他社に大きく遅れを取らないかと心配した。
ホンダの戦略転換こそが正しいとさえ思えた。
しかし面白いことに、ホンダの戦略転換が裏目にでる結果となった。
なぜあれだけ将来的に有望とされたEV市場が伸び悩んだのか。
背景には、主にユーザーの実利、政治の激変、高コストという3つの壁がある。
1. ユーザーの不満
これまでは新しい物好きの層がEVを買ってくれたが、一般層に普及する段階で不満が壁となっている。
• 航続距離とインフラの不安:
米国のような広大な国土では、「充電切れ」や「充電器の故障・不足」が日本以上に深刻なストレスとなった。
• 実用性の低さ:
特に冬場のバッテリー性能低下や、ピックアップトラックなどの大型車での牽引時の航続距離激減が、米国ユーザーの期待を裏切った。
• 価格の高さ:
補助金があっても依然としてガソリン車より高く、高金利が続く中で「わざわざ不便なEVを高く買う理由がない」と判断された。
2. 政治的な不透明感
2024年の米大統領選でトランプ氏が勝利したことで、EV政策は一変した。
• 補助金の打ち切り:
バイデン政権下でのEV購入税額控除が縮小・廃止の方向に進んだ。
• 規制の緩和:
燃費規制などの環境規制が緩まったため、メーカーは「無理に赤字を出してまでEVを作る必要」がなくなった。
• 関税の影響:
日本車などへの関税リスクに対し、ホンダなどは巨額の投資計画の見直しを余儀なくされた。
3. メーカーの戦略的撤退
ホンダは、以前は「2040年までにEV100%」という野心的な目標を掲げていた。
しかし、現在は現実路線(ハイブリッド強化)に舵を切っている。
• 投資の削減:
ホンダは2025年〜2026年にかけて、EVへの投資計画を数兆円単位で削減し、その分を需要の高いハイブリッド車(HEV)へ回すと発表した。
• 損失の計上:
EV開発の中止や生産規模の縮小に伴い、数百億〜数千億円規模の特別損失を計上したことが、利益を圧迫する要因となっている。
結局、ユーザーが求めているのは「安くて便利で壊れない車」であり、現状ではハイブリッド車がその最適解になっているようだ。
トヨタが全方位戦略で独り勝ち状態にある。
それに対し、EVに急激にシフトしたメーカーほど、今の市場の冷え込みに苦しんでいる。